日本人が英語が苦手な理由 ~英語力向上のポイント

日本の英語力はなぜ低い?そもそも、日本人に英語は必要か?
その答えから、日本人の英語力向上のポイント(正しい学習法)が見えてきます。

日本の英語力の現状

日本の「英語力」は、112カ国中78
非英語圏の国・地域における英語能力指数(EF EPI)において、日本の順位は2020年の55位からさらに悪化しました。
ちなみに、同じアジアを見てみると
シンガポール 4位
フィリピン 18位
・マレーシア 28位
・韓国 34位
と、日本はアジアの中でも最低レベル…。
教育先進国のはずの日本は、なぜここまで英語ができないのでしょうか?

日本の英語力がここまで低い理由

英語と日本語の言語間距離(性質の違い)

アメリカ国務省FSIは、日本語を英語に最も遠い言語(アメリカ人が習得するのに最も難易度が高い)に位置付けています。
文構造(文法)・文字・発音などの構造が英語に最も遠いということが、日本人が英語を苦手とする最大の理由の一つに挙げられます。

日本の英語教育は「第2言語」(ESL)ではなく「外国語」(EFL)

多民族国家にとって、公用語として「第2言語」(ESL)の習得は、生活上必要なものであり、例えばフィリピンでは小学校3年生から「国語」の授業以外、全ての授業が英語で行われています
一方日本での英語は「外国語」(EFL)としての教育であり、日常生活における英会話の必要性はほぼ皆無で、学ぶ必然性もないため、国際理解教育、受験科目としての色が濃くなっています。
そのため、「習得」(できる・使える)より「理解」(分かる)がメインになっています。

アウトプット(英語のある日常・実践の場)の機会がない

英語に限らずスポーツや音楽も、どんなに理論を学び練習を重ねても、活用・実践の場がなければ上達はもとより、学習意欲の持続は困難です。
英語を使う場が「受験のみ」で「英会話」など英語を活用する場がなければ、「英語ができるようになりたい」「学びたい」という意欲はわきません
受験が終われば「英語力」は不要なものとして記憶の隅に追いやられ、数学の「微分・積分」と同じように忘れ去られます…。
「英語を学ぶ動機」に乏しいことも、英語が身につかない大きな原因の一つです。

日本人に英語は本当に必要か?

少子化による労働力不足(外国人の増加)

少子化による深刻な労働力不足を補うため、近年、外国からの技能実習生短期・長期雇用労働者などが急増し、ここ10年で倍増しています。
コンビニやレストランなどで外国人の店員を見かけることは、もはや当たり前の光景になってきています。
また、スポーツ界でも日本代表として活躍する外国人選手やハーフの選手も珍しくなくなりました。
長く単一民族国家であった日本も、かなり国際化してきていることが分かります。

多くの外国人を受け入れる側として、「日本語しか通じない」という今の日本は、人道的観点からも国際社会から理解を得難い状況であり、私たちの意識改革が必要なのかもしれません。

グローバル化

訪日外国人旅行者(インバウンド)が2018年には3,000万人を突破し、ここ10年で約4倍に増加しました。その消費額は約4.5兆円と我が国の経済に与える影響が大きくなっています。
日本語の習得は外国人にとって極めてハードルが高く(「英語と日本語の言語間距離」参照)、英語によるコミュニケーションができないと、その不便さから訪日意欲も購買意欲が下がり、観光業の収益にも影響します。

DXによる企業・仕事(働き方)の変革

世界経済の変化により、これまで発展途上国とされてきた国も含め、アジア諸国が経済的に発展してきていることに対し、日本はここ20年停滞しているのが現実です。
加えて、日本は上記のように超少子高齢化社会への道を突き進んでおり、生産年齢人口の減少に加え、ビジネスマーケットの縮小にもつながるものです。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の進化が、個人レベルでもグローバル化を急速に推し進めているように、低迷する日本企業も必然的に新たなビジネスチャンスを求め、マーケットを世界規模に広げています。
英語でのコミュニケーションは、急速に変化する新しい国際社会に対応するために、重要なツールです。
また、これからの社会を変えるDX(ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる)を支える人材に重要なスキル「プログラミング」言語も、英語をベースにしたものであり、その理解と開発に、英語力は重要な武器となります。

学校における英語教育改革(「使えない英語」学習からの脱却)

第4次産業革命Society5.0…、社会は大きな変革の時を迎えています。
学習指導要領の改訂により、小学校でも「英語」の授業が始まり、「プログラミング教育」も導入されるなど、予測困難な社会を生きる子どもたちに必要な力を身につけるため、学校教育においても大きな改革が始まっています。
文科省は、
・小学校5,6年生の72.3%が「英語の授業が好き」と回答
・高校3年生の58.3%が「英語の学習が嫌い」と回答
の調査結果を受け、「高等学校卒業時に生涯にわたり「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能を積極的に使えるようになる」を目標とし、大学受験においてもこれまでの文法中心の英語ではなく、4技能のバランスが求められるなど、使える「英語力」の育成が重視されています。
下の大学入試問題(東京大学2015・2016)を見ても、参考書や問題集と向かい合うだけの従来の「受験英語」では、太刀打ちできないことが分かります。

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東京大学入試問題「英語」2015年

「英語が分かる・できる」ではなく、「英語を使って何ができるか」が問われています。
次の「発音より大切なこと」に書かれたことにも関係しています。

東京大学入試問題「英語」2016年

ネイティブにこだわるのはナンセンス

ネイティブにこだわる理由「発音」

そもそも、ネイティブの意味は「その土地に元々いた人、原住民」ですが、ここで言うネイティブ(スピーカー)「ある言語を母国語として話す人」という意味で使われます。
日本の英語教育は「アメリカ英語」を基本としていますが、移民の国アメリカが受け入れたイミグラント(移民)の数は5,000万人を超え、ネイティブ・アメリカン(先住民)の150万人をはるかに凌ぎます。
日本人がネイティブにこだわるのは、「正しい発音」を重視する考えからだと思います。しかし、そこに真の英語力習得を妨げかねない落とし穴があります。
アメリカ英語とイギリスの英語の違いを例に見てみましょう。

「アメリカ英語」と「イギリス英語」の違い

◆発音:can(~できる)
 アメリカでは「キャン」
 イギリスでは「カン」
◆単語:地下鉄
 アメリカでは「subway」
 イギリスでは「underground」(subwayは地下通路)
◆スペル:色
 アメリカでは「color」
 イギリスでは「colour」
※ 英語の辞書の「発音、単語、スペル」に(米)(英)という注意があるのはそのためです。
◆文法・用法:「~ありますか?」
 アメリカでは、Do you have ~ ?
 イギリスでは、Have you got ~ ?(現在完了を使う)
◆文法・用法:「素晴らしい、よい」
 アメリカでは、fine や good
 イギリスでは、lovely

このように、英語に唯一絶対の答えはないのです。これらはほんの一例にすぎません。
日本語で考えてみても、「ネイティブスピーカー」の東京と大阪北海道と沖縄では、発音もイントネーションも異なるように、アメリカ国内でも、北部と南部、東海岸と西海岸では異なる発音や「訛り」があります。
そもそも、世界的に英語を公用語としている国のほとんどは「イギリス英語」を基本としていますので、発音だけを見ても絶対的な正解は存在しません。世界中には、「インド英語」のように癖の強い英語が多数あります。

英語でも日本語でも「発音」より大切なもの

例えば、「light」(灯り)「right」(右)「write」(書く)の発音が下手でも、会話の場合は文脈から考えれば容易に判断できます。このようなことは日本語でもよくあることです(同音異義語や聞き間違い等)。

それよりも、「フライドポテト」※1や「シュークリーム」※2など、和製英語を英語と勘違いして使うことの方が問題です。
※1英語では「フレンチフライ」(french fries)という。イギリス英語では「チップス」(chips)。フライドポテトは、揚げたジャガイモ(丸ごと?)のイメージ
※2英語では「クリームパフ」(cream puff)という。シュークリームは「靴のクリーム」に聞こえてしまう

実際に、英語圏の外国人が「英語がうまい」と感じるのは、発音ではありません
昔、あるテレビ番組で、帰国子女の流暢な発音の英語よりも、大橋巨泉氏の「日本語訛り」バリバリの英語が、アメリカの有識者に絶賛されていました。
大切なのは表現力(言葉や文章)であり、それは日本語でも同じことです。
カッコいい印象から発音ばかり気にしすぎることは、習得の妨げになるばかりか、真の英語力を見失います。

日本人の英語学習に重要なこと

ここまで、日本の英語力の現状と、今後の英語の重要性英語学習の視点(ネイティブか否かではない)を考えてきました。
これらのことをふまえ、「英語が話せる」ようになる ⇒ 「英語力が向上する」ために、日本人に必要(最適)な英語学習法の一つが、「オンライン英会話」です英語のない日常に「英語を学ぶ動機」を与え、日本語に最も遠い言語を克服する「英語脳を作る」のに、極めて有効なツールです。

詳細は、次の記事(「オンライン英会話」選びのポイント)でご紹介します。

コメント

  1. […] 大学受験においても、英語は、これまでの文法・長文読解ばかりではなく、4技能(読む・書く・話す・聞く)のバランスが求められるなど、使える「英語力」が重視されています。そもそも、日本の英語力はなぜここまで低いのか?(78位/112か国)その原因を分析すると、最適(必要)な学習法が見えてきます(前記事「日本人が英語が苦手な理由 ~英語力向上のポイント」をご覧ください)。 […]

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